おうさま の ナミダ
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現実がゆっくりと、音を立てて動き出す。
世界が少しずつ変わろうとしている。
動かしたのは確かに私自身で 私が動かせる私の世界に違和感を覚えてから気づく
嗚呼、また わ たし は
「あ、どうも。」
どうも・・・。
便器が語りかけてきた。なんの前触れもなく、唐突に。
空いた口が塞がらないとはまさにこのことで
思考の止まった私は、口を「どうも・・・。」も「も」の字にしたまま呆然とその場に立ち尽くす。
「なんですか。便器がしゃべっちゃ駄目なんですか?」
そいつはからかうように言った。
「よかったらご使用なさいますか?」
だ、だ、大丈夫です。 間に合ってるんで・・。
完全にパニくった私は真っ白な頭を抱えながらかろうじて言葉を紡ぐ。
「そうですか?じゃあまたのお越しをおまちしてますね。」
なかなか紳士な便器だ。
けどお喋りはこれっきり。そいつはそう言ったきり、喋り出そうとしない。
・・・もしもし?
ゆすっても叩いても水を流してみても喋る気配はない。
ためしに自分で自分の頬をつねってみる。
痛ってぇ。